「一たび鳴かば人を驚かさん」・中国の物語
Submitted by whenis on Fri, 08/14/2009 - 09:03紀元前9世紀から5世紀にかけては、中国の戦国時代である。この時期の諸侯国は数十にものぼり、生き残るために、正しく効果的な内外政策を実施することが各国では重要となってくる。そこで国王に策を献ずることを専門にした策士という階級が生まれた。これら策士たちは、それぞれ哲学的思想や国を治める道理を持ち、意味の深い活き活きとした例を用いて摂政者を説得し、摂政者にその策を喜んで受け入れさせること得意としていた。
この「一たび鳴かば人を驚かさん」という故事も、策士の淳于昆が国王に自分の策を受け入れさせた例である。
斉の威王は即位して間もない国王であった。彼は太子のころから、賢く才能があり、文武両方の知識を懸命に勉強したほか、治国の政略をも研究し、自分の即位後に斉の国を強大にしようという志があった。しかし実際に即位してみると、国王の権威と国王になってからの楽しみは太子のときより遥かに大きいことが分かった。かれは毎日大臣たちにおだてられ、後宮に帰れば最高級の酒食をむさぼり美女に囲まれたので、彼の太子時代からの雄大なる志は徐々に消えていた。