『史記・項羽本紀』③~鴻門の会~
Submitted by whenis on Tue, 09/03/2019 - 23:54鴻門の会。これは楚の項羽と漢の劉邦が、秦の都、咸陽の郊外で会見した話です。劉邦を殺す最高の機会を、項羽は逃してしまいました。項羽は劉邦を殺すチャンスに恵まれましたが、それをしっかり掴むことができず、とうとう、楚と漢の戦いが始まってしまいました。結局、最後に、項羽は劉邦に垓下にまで攻められ、自殺してしまいました。
鴻門の会は劉邦にとって、まさに生死を分ける瀬戸際と言えます。項羽との直接対決の場となりました。これは司馬遷の『史記』の中でも最も有名な一節です。
その背景
前回は、項羽が秦の主力部隊と遭遇し、少数で多数に臨んだ鉅鹿の戦いで勝ち、大活躍したことをお話しましたね。その時に、劉邦は何をしていたかと言いますと、別働隊として強力な敵と遭遇することなく、咸陽に到着し、秦の王を降服させ、関中一帯を占領しました。
その前に、楚の懐王、この懐王というのは、あくまでも叛乱を起こし、秦を覆すために、項梁と項羽が立てた傀儡王ですから、実権はもちろん、項羽に握られています。楚の懐王は「関中を征した者を関中の王とする」と将軍たちに約束したことがあります。