漢鐘離が呂洞賓を済度

皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。

私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。

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呂洞賓は山西省出身の知識人です。しかし、今の大学入試に当たる官吏登用試験を合格した時、すでに64歳でした。出世の道、あまり順調ではありませんでした。

 恐らくそのときの呂洞賓にとっては、もう出世ということをほぼあきらめたのではないかと思います。ある日のことです。呂洞賓は都である長安(現在の西安)の町に来て、ある居酒屋で仙人の漢鐘離と会いました。

 漢鐘離は仙人となるいい原石である呂洞賓に声をかけましたが、すぐに弟子として認めたわけではありませんでした。呂洞賓のほうは、漢鐘離に啓発され、すぐに決心して、道にたどり着こうとしました。しかし、漢鐘離は、「あなたはまだ志を完全に決めていない。この俗世間から離脱するために、更に何度も生まれ変わらなければならない」と言って、その場を去って行きました。

 漢鐘離は消えましたが、呂洞賓はあきらめませんでした。すぐに仕事をやめて隠居し、道を学びました。

 大きな決心を示した呂洞賓を、仙人である漢鐘離はきっとどこかでしっかり観察していたんです。その決心と悟り具合を試すために、漢鐘離は10の場面を仕掛けました。

 最終的には、呂はテストとなる10場面を全部クリアし、漢鐘離の弟子となり、更に、仙人になりました。

 いくつかテストの内容をご紹介しましょう。仙人になるために必要な資質って、何でしょうか?テストのポイントを把握したいですね。

 まず、一つ目をご紹介しましょう。

ある日、外出していた呂洞賓は家に帰ると、家族全員が病死していました。呂洞賓は悲しくもなく、ただ棺おけを買ってきて、家族の死体を埋葬しようとしました。しかし、それをやろうとすると、亡くなった家族がまた生き返ってきました。なんだこれは漢鐘離が仕掛けたテストだったのです。

 面白い考察ですよね。人間の誕生や老い、病気、死などは、逃れられない運命です。生きると死ぬことを見破られなければ、仙人になる資質がないということですね。

 次のテストです。

 呂洞賓はたまたま市場に行って、物を売ろうとしました。値段の交渉をした後、買い手は物を手に取って、突然がらりと態度を変えました。交渉した値段の半分しか出さないと強く言い出しました。

 普通の人なら、こんなことに腹立ちますね。全然信用がないんですもん。普通は口喧嘩になるんでしょうね。

 でも、呂洞賓はまったく気にしませんでした。値段のことで買い手と揉めたりしませんでした。売ろうとした物を捨てて穏やかな表情で帰りました。

 これって、テストのポイントは、お金に気にしないでしょうか?それとも、小さなことで人と口争いしたりしないということでしょうか?両方ともあるかもしれませんね。次のテストです。

呂洞賓は一人で山奥の小屋に住み、読書をしていました。夜に、突然、ノックする音がします。ドアを開けると、年頃のきれいな女性が立っています。「実家に帰省する途中ですが、道を間違えて、夜になってしまいました。一晩泊めてほしい」と頼みました。呂洞賓はその頼みを承諾し、家で休憩させました。しかし、夜中になると、女性はあの手この手を使って、洞賓を誘惑しようとしました。洞賓は少しもそれに心を動かさなかったのです。こうして、女性は三日後にようやく離れていきました。

 必須の誘惑テストですね。美しい女性が代表する人間の情欲って、仙人になるために、捨てなければ成らないものですかね。

 中国の神様の世界では、もちろん、情欲を捨てた神様が大勢いますが、ちょっと矛盾もあります。一旦仙人になれば、同じ階級の仙人と、恋愛できるような気がします。仙人の間では、結婚したり、子供を作ったりしても大丈夫なようです。

 まあ、いずれにしても、漢鐘離はまだ普通の人間である呂洞賓には、情欲を断てと要求しました。

 このほかにも、いくつかのテストがありますが、10回目のテスト、つまり師匠が仕掛けた最後のテストを紹介します。

 呂洞賓は一人で部屋に座っています。突然、目の前には様々な奇怪な形の鬼が現れました。呂洞賓を殴ったり、殺そうとしたりしていました。でも、それに呂洞賓はまったく怖がりませんでした。これらが消えると、更に、数十人の夜叉が現れ、死刑で亡くなった一人の囚人を護送しています。この囚人は血まみれになって、号泣しながら呂洞賓に叫びました。「お前は前世で俺を殺した!命を償ってくれ!」 呂洞賓は落ち着いて言いました。「いいよ。人殺しは命で償えるはずだ!」そういいながら何の躊躇もせず、刀を探し、自殺をして償おうとしました。

 そのときに、空中から「ホ!」という鳴き声が聞こえてきて、鬼神や鬼が全て消えました。漢鐘離は手を叩いて、大笑いしながら現れてきました。「10回あなたをテストしたが、少しも心動かさなかったね。必ず仙人になれるよ。」と話しました。

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