万事具備
皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。
私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。
準備万端という意味です。
中国語では、もちろん、「万事具備」を単独で使うこともできますが、一番よく使われる形は、"万事具備、只欠東風"です。準備は完了したが、必要な条件がただ一つ満たされていないという意味です。これは日本でも数多くのファンがいる『三国志』から出た名句です。今でも、日常会話の中でよく使われています。
この言葉は『三国志』の中でも最大の見せ場ともいえる「赤壁の戦い」から来たのです。中国後漢末期の208年、長江の赤壁で起こった曹操軍と孫権・劉備連合軍の間の戦いです。歴史と一致しないところがありますが、羅貫中が書いた『三国志演義』バージョンをご紹介しましょう。
208年、曹操は83万人の軍を率いて、長江の中流にある赤壁に駐屯し、蜀の劉備を打ち負かした後、さらに、呉の孫権をも侵攻しようとしています。蜀と呉は同盟を結び共同で曹操に抵抗します。蜀と呉の兵力は少なく、両軍をあわせた連合軍も、魏に及びません。
劉備の軍師、諸葛孔明と孫権の総大将、周瑜(しゅうゆ)は、大軍を有する曹操を相手にするには火計しかないと判断し、火攻めの計略をたてました。しかし、すべての準備が整った後に、周瑜は曹操の船舶が長江の西北側に停泊し、連合軍の船舶は南側にあるという事に気付きました。問題は、季節は10月ですので、西北の風が多く、火攻めを実施する場合、逆に自分たちの水軍に被害をもたらす恐れがあります。東南の風が吹かないと火攻めを実現できないと、大変心配した周瑜は、血を吐いたりして病に倒れました。
見舞いに行った諸葛孔明は、処方箋として、「曹操を破るには、火計がよい。準備万端だが、東風をまつばかり。」という意味の16文字を周瑜に渡しました。
自分の心配事が当たった周瑜は諸葛孔明に計略を聞きました。諸葛孔明は豊富な気象知識を持っています。近いうちに数日間東南の風が吹くだろうと予知しました。そして、周瑜に「風や雨を呼ぶ術を持っている。三日三晩、東南の風を貸してあげればいいかな?」と言いました。
周瑜は大喜びし、「三日三晩など贅沢は言わない。一晩でもいい。きっと成功できるぞ!」と言いました。
すると、周瑜は部下に火攻めの準備をするよう指示し、諸葛孔明が東風を借りてくれば、すぐに出兵できる態勢を整えました。
諸葛孔明は祭壇に登り、天に祈りを捧げ、口の中で何かぶつぶつ言いながら、季節外れの東風を呼び起こすふりをしていました。
夜中になって、期待通り、東南の風が吹き始めました。連合軍はわらをつんだ船に火をつけ、火攻めの計略を実行しました。鎖で固定していた曹操軍の船隊は切り離しが間に合わず次々と炎上しました。更に、東南の風で地上の陣地にも火が燃え広がり、曹操軍は散々に打ち破られました。
これは有名な「赤壁の戦い」の一節でした。この戦いでの曹操の敗北によって、中国は三分の形勢となりました。