『孫子兵法』
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『孫子兵法』は中国古代における最も偉大な軍事理論書で、世界に最も知られ、影響力が最も大きい中国古典の一つである。『孫子兵法』で論述された計略や哲学思想は今でも軍事、政治、経済などの分野で活用されている。
『孫子兵法』は、今から2500年前に著された軍事理論書で、欧州のプロイセンの軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツ(Carl von Clausewitz、1780-1831)が書いた『戦争論』(Vom Kriege)より2300年も早いものである。
『孫子兵法』の著者は中国春秋時代の名将軍孫武で、中国の史上で「兵の聖人」または「武の聖人」と尊称されている。当時、戦乱を避けるため呉国に流れ込んだ孫武は呉王に才能を買われ、将軍に任命された。その後、孫武は3万の兵で楚国の20万もの軍隊を敗ったので、その名が各諸侯国に知られた。孫武は春秋末期までの戦争を研究し、その経験をまとめて「孫子兵法」を編纂した。「孫子兵法」の中で、孫武は共通性のある軍事法則をまとめ、軍事理論体系を構築した。
「孫子兵法」は13篇からなる6000字のもので、13のテーマを巡って軍事理論を論述している。例えば、「計篇」(第一篇)の中で、慎重に敵との実力差、勝算の有無などを検討し、戦いを起こすべきかどうかなどについて論述している。また、「計篇」では、戦争と政治、経済の関係を掘り下げ、戦争の勝敗を決める五つの要因がそれぞれ政治、天候(国際環境なども指す)、地理条件、将官(軍隊の指揮者)、法制(軍隊の組織、規律、装備などを指す)で、最も大切なのは政治だと指摘している。「作戦篇」では、「無意味に戦争を続けないために、効果的な戦争決着を考えなければならない」ことを説いている。「謀攻篇」では、「はかりごとで敵を攻める方法」を説いている。孫武は「できるだけ最小の代価で最大の成功を収めるため、戦わず人の兵を屈し、城攻めをせず敵の城を奪い、戦争を続けず敵を滅ぼすこと」を主張している。この目標を実現するには、謀略を生かし勝利を得ることとし、「最上の戦い方は敵の謀略を封じることであり、その次は外交策略で敵の同盟関係を断ち切り孤立させ、その次が武力を行使することであって、城攻めは最も下策の行為である」と孫武は説いている。また、謀略で敵を攻めるには、自分の実力を把握した上、相手の情況も知るべきだと主張している。「用間篇」では、「情報収集の方法としてのスパイの用い方」などが説かれており、「敵の情報を先に知るには各種のスパイを活用し、多くの情報を収集すべきだ」と孫武は主張している。
「孫子兵法」には価値のある哲学思想が含まれている。例えば、「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」(敵を知り己を知れば百回戦っても危険は無いと言う意味)が中国のことわざになった。「孫子兵法」には弁証法的な考え方が多く、戦争と係わる一連の矛盾、例えば、敵と味方、主要的と副次的、多人数と少人数、強と弱、攻めと守り、勝ちと負け、得と災いなどの対立と転化を検討している。「孫子兵法」はこれら矛盾の対立と転化の条件を検討した上、戦略と戦術を打ち出したわけであり、中国の弁証法的論理の発展史において重要な位置付けを占めている。
「孫子兵法」は軍隊の配置、戦術の実施などを取り上げ、「兵法と謀略の極意」を集大成したものであり、歴代の軍事専門家に引用、掲載された謀略と典故などは既に中国の多くの老若男女に知られている。「孫子兵法」は周密的な軍事理論、深みのある哲学、変化の尽きない戦略と戦術を取り上げた本で、読むたびに新しい発見があると言われている。世界の軍事界でもその名が高く、英語、ロシア語、ドイツ語と日本語など29種類の言語に訳され、全世界で数千種類もの活字版が出版されており、多くの国の軍事学校では教科書として採用されていると言われている。報道によると、1991年の湾岸戦争中、対戦の双方がいずれも「孫子兵法」を参考にしたとのことである。
「孫子兵法」は社会、商業などの分野においても応用されている。内外の企業やビジネスマンは「孫子兵法」の軍事理論をビジネスに用い、経営管理、マーケティング、セールスなどで生かし、積極的な役割を果たした。