中国の民間物語・牽牛と織女の物語

皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。

私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。

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  牽牛という貧乏だが楽しく暮らしている独身の男がいた。彼は一頭の老いた牛と共に暮らし、その他の財産といえば一つの鋤だけである。牽牛は毎日畑で働き、帰宅してからも自分で料理や洗濯をしなければならず、苦しい日々を送っていた。ところがある日、奇跡が起こったのだった。

 
この日、牽牛は野良仕事を終えて家に帰り、戸を開けると部屋の中はきれいに片づけられ、洗濯もきちんと終り、おまけに卓上には熱くて美味しそうな料理が置かれていた。これには牽牛はびっくり。こりゃどういうことだ?まさか神様がここにこられたのか?と思い、不思議でならなかった。
 
このようなことは何日も続いた。牽牛は我慢しきれず、真相を突き止めようと決めた。そしてこの日、牽牛はいつもの通り朝早く出かけたが、すぐに家の近くで身を隠し、こっそりと家を見ていた。
 
間もなく、ひとりの美しい女性が現れ、家に入り、忙しげに家事をやり始めた。これを見た牽牛は我慢できず、飛び出していって、“お嬢さん、どうして家事を手伝ってくれるのですか?”と尋ねた。女性は驚いて顔を赤らめ小さな声で答えた。“私は織女と申します。貴方のつらい生活を見て、お手伝いしようと思ったのです”。これに牽牛は大喜びで、勇気を出して織女に“オレの嫁に来てくれないか?いっしょに働いて暮らそう”と申し出た。これに織女は承知した。こうして牽牛と織女は夫婦となったのである。それからは牽牛は毎日畑で働き、織女は家で機を織り家事をやり、幸せに暮らした。それから何年か経って、二人には男と女の二人の子供ができ、家族四人は楽しく過ごしていた。
 
ところがある日、空が不意に曇り出し、疾風が吹き荒れ、天の2人の神将が牽牛の家へやってきた。このときになって、牽牛は織女が天帝の孫娘であり、何年か前に家出したため、天帝は彼女を探していたことが分かった。この日は神将たちは織女を無理矢理に天に連れ戻しにきたのだった。
 
これを見て牽牛は、二人の幼い子供を抱きかかえ、空へと連れ去られてゆく織女を見つめ、ひどく心を痛めた。そして彼は必ず天に行って妻を連れ戻すのだと誓った。しかし、普通の人間がどうやって天へ行くのか?牽牛が悩んでいると、これまでずっと黙っていたかの牛が口を開いた。“わたしを殺して、わたしの皮をまとえば空を飛べるよ”。この話に牽牛は何度も首を横に振ったが結局は、ほかに方法もないので、涙をのんで牛の言うとおりにせざるを得なかった。
 
こうして牽牛は牛の皮をまとい、二人の子供を天秤棒で担いで天の宮殿へと向った。だが位の違いを強調する天の宮殿では、ただの貧しい人間である牽牛を目にかける人など誰一人もおらず、天帝も彼と織女との面会を断ったのである。
 
しかし牽牛と子供たちが再三願い出たので、天帝はついに織女との面会を許したのだ。囚われの身となっていた織女は自分の夫と子供たちに会うことができて喜びと悲しみでいっぱいだった。やがて、天帝はあらためて命を下し織女を連れ去った。悲しんだ牽牛は子供を連れてその後を追い、何回も転んでは立ち上がり、必死に追いつこうとしたが、この時、天帝の酷い后が金の簪を使って大空に線を引いたので、なんと広い銀河が現れ、牽牛と織女の間をふさいでしまった。こうして、牽牛と織女は互いに銀河の両端に立ち、遠く向かい合うことになったのだ。ただ毎年旧暦の七月七日だけは、牽牛と織女がただ一度会うことを許された。そのときは、何千何万という大勢のカササギが飛び交い、銀河の上に長いカササギの橋を作り、それを渡って牽牛と織女が落ち合うのだった。
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