両袖清風
皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。
私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。
「両袖清風」。二つの袖に清らかな風。
中国では昔の服装は袖が太くて長いかったのです。その長い袖にポケットがあって、ものを入れることができます。ですから、賄賂を受ける時に、袖に入れます。
日本語にも「袖のした」という言葉がありますが、たもとに隠すようにしてそっと渡すもの、賄賂を表します。中国と日本、賄賂のやり方がいっしょなんですね。
官僚が、両方の袖には清らかな風しかないと言えば、自分が賄賂を贈ったり、賄賂を受け取ったりしたことがない、清廉潔白な人だという自慢になります。「両袖清風」にまつわるこんな故事があります。主人公は明の時代の民族的ヒーローであり、詩人でもある于謙です。
明の時代、宦官王振は自分の私利私欲を満たすために権力を濫用していました。官僚たちが集まる度に、各地から上京した官僚は彼に媚びるため、金銀や宝石などをよく献上しました。しかし、省長に当たる地方の長官を務める于謙は上京する時に、いつも何の土産も持って来ません。彼の同僚は「金銀を捧げ、媚びたりしなくてもいいから、せめてシイタケやハンカチなど、地元の名産品を持って、気持ちだけ示したほうがいいじゃないか」と、彼にアドバイスしました。しかし、于謙はその両袖には清らかな風しか通らないと言い、他の官僚の不正行為を批判しました。
「両袖清風」。袖の下を受け取らないことから、官僚が清廉潔白である喩えとなりました。自分を厳しく律し、賄賂を行わない清廉な官僚を表します。
清廉な政治。これは世界共通の課題ですが、このほど閉幕した中国共産党第18回全国代表大会では、特に幹部の腐敗問題を強調しました。中国のような昔から、義理人情を重ずる社会では、腐敗が大きな問題ですからね。
中国では昔から、賄賂を贈るために、色々な名目があります。祝祭日のほか誕生日、子供の誕生、親の死亡などはもちろん、夏には「氷敬」と言い、上司が氷を買って、部屋を冷やすために部下が表す敬意、冬には「炭敬」と言い、炭を買って、部屋を暖めるための私の気持ちだという、様々な名目があります。
いわゆる暗黙の了解ですね。しかも、「氷敬」「炭敬」きれいな言葉を使っていますね。そんな社会環境の中で、于謙のような「両袖清風」の官僚は本当に珍しいです。しかし、同僚のアドバイスのように僅かのお土産も持っていかないなど、全く融通が利かないのは、官僚にとって、果たしていいことでしょうか。