作者、秦観は北宋の詩人。江蘇省の人。蘇東玻の有名な4人の門下生の1人です。
暦の上で処暑も過ぎ、北京では朝晩などだいぶひんやりしてきましたが、広い中国まだ残暑の厳しいところも多いようです。熱帯夜という言葉に縁のない北京ですが、南の方はそういう訳にはいきません。エアコンなどの無かった昔は、夜涼みに散策にでかけたのでしょう。柳外、柳の並木の向こう側。画橋は欄干に意匠を凝らした彫刻のある橋の事。胡牀は横になることができるくらいの長い椅子のようなもの。そこにもたれて休んでいると、目には月明かりが映り、耳には船の汽笛が聞こえ、鼻には蓮の花の香りが漂ってくる。風が止んでも、涼やかな雰囲気が漂います。まさに五感で涼を求める感じです。この詩を聞いて目に浮かぶのは、蒸し暑い夏の夜ではなく、美しい夏の夜です。
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