燧人、木をすり合わせて火種を取る

皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。

私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。

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中国の神話や伝説には、知恵、勇気と強い意志で人々に幸せをもたらす英雄が多い。燧人もそのうちの一人である。大昔の野蛮な時代、人々は火の存在を知らず、使い方ももちろん知らなかった。夜になると、人々は身を合わせ、真っ暗闇の中で野獣の吼える声に戦き、寒さと恐怖の中で過ごしていた。火がないため、食べ物を生で食べるしかなかったことから、よく病気になり、寿命も短かった。
 当時、伏羲という神様がいて、人間の生活がこんなに苦しいのを目の当たりにして悲しく思い、人間に火の使い方を教えようとした。伏羲は神通力を使い、森に雨を降らせたので、“ガガ―ン”という音と共に、雷が木に落ちて燃え上がり、瞬く間に大火となった。これに人々は驚き、四方八方に逃げた。やがて、雨が止み、夜になると雨上がりの大地は濡れて冷たかった。逃げていた人々が戻り、燃えている木々を見て驚きを隠せなかった。この時ある若者は、それまでまわりでよく聞こえた野獣たちの吼え声が消えたことに気ついた。彼は“獣たちはこの光るものを恐れているな”と考え、勇気を出して自ら火に近づいてみると、その光るものは暖かかった。そこで彼は興奮し“みんなはやく来い!この光るものはは怖くないぞ。このこれはみんなのに光と温もりを与えてくれるぞ!”と言った。この時、人々は近くで焼け死んだ獣を見つけたが、なんとその焼けた肉からはいい匂いがしていた。そこでみんなは火を囲み、焼けた獣肉を分けて食べ、初めて熟したものの美味しさを知った。こうして始めて火の重要さを知り、火を消さないようにと、枝や薪を集め、火が消えないよう、毎日かわるがわる火を見守っていた。しかしある日、番をしていたものが眠ってしまったので、枝などは燃え尽き火は消えていたのだ。こうして人々はまた暗闇と寒さのなかの生活に戻りし、苦しい日々を送っていた。
 この様子をかの伏羲は空から見ていた。そこで伏羲は最初に火のありがたさを知ったかの若者の夢に出てき“はるか遠い西に遂明という国があり、そこに火の種がある。その火種を取ってくればいい”と教えた。夢から目覚めた若者は、その教えどおりに、遂明国に火を探しに行くことを決意した。
 こうして若者は山を越え、河を渡り、森を通って、艱難辛苦をなめ尽くし、やっとのことで遂明国に着いた。しかしここには日差しがなく、昼と夜の区別がなく、あるのは暗闇ばかりで、火などどこにもない。若者は失望し、“遂木”という大きな木の下に座り、休んでいた。と、急に目の前で何かがひかり、周りを明るく照らした。若者は立ち上がり、その光を探し回ったところ、遂木のに止まった何羽か大きな鳥が、木に生えた虫を突付いており、くちばしで突付くたびに木から光が放たれるのをみた。そこで若者は遂木の枝を折り、小さな枝と大きな枝を擦ったところ確かに小さな火花は出たが、火は燃えない。そこで若者はいろんな枝を使って互いすり合わせて摩擦を続けたので、ついに、すり合わせた枝からけむりが出始め、やがて燃え上がる炎となった。そのとき若者は喜びのあまり涙を流した。
 やがて若者が故郷へ帰り、みんなのために火の種を取る方法をみんなに教えたので、そのときから、人々は暗闇、寒さと戦きの暮らしから解放されたのだ。こうして若者は、その勇気と知恵が認められて首領となり、“燧人”と名付けられた。この“燧人”とは火を取る者という意味である。
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